ポップなカラーとその形状が印象的な絵や立体の作品をつくりだすアーティスト「山瀬まゆみ」。
クリエイターとして活躍する彼女に、ペインターとしての生い立ちや自身が大切にしているアイデンティティについてお話を伺いました。
<Profile>
東京生まれ。幼少期をアメリカで過ごし、高校卒業と同時に渡英。ロンドン芸術大学、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ&デザインにてファインアート学科を専攻。現在は東京を拠点に活動する。抽象的なペインティングとソフトスカルプチャーを主に、相対するリアリティ(肉体)と目に見えないファンタジーや想像をコンセプトに制作する。これまでに、東京、ロンドン、シンガポールでの展示、またコム・デ・ギャルソンのアート制作、BEAMS Tへの作品提供を含む、様々な企業との取り組み行っている。
生い立ち・ペインターになるまで
両親の仕事が古着屋さんを営んでいたので、6歳までアメリカのLAで育ちました。そのころはアメリカのアニメなどが大好きで、運動も好きでした。
母は古着屋を始める前はハンナ・バーベラプロダクションというスマーフとかフリンストーンを描いている会社でアニメーターとして働いていて、その後もイラストレーターとして絵を描いていたので、小さい頃から絵は身近にありました。
絵は描いていましたし、描くのが好きでしたが、私はどっちかというと外で遊ぶ方が好きでバスケやマラソンなどスポーツの方に没頭してました。
小学4年生くらいの時に、母が「この人たちを描いてみて。思いっきり」と女性モデルが映った雑誌を持ってきて、その絵を描いたら両親がそれをTシャツやカバンにプリントして使っていて(今思うとビジネスに利用されてるようでひどいのですが笑)当時は「思い切り描くといいと言われるのかな」と思ったのが印象深く、今でも必ず絵や何か向き合うときはあまり躊躇せず”思いっきり”というのは意識している気がします。
絵を本格的に描き始めたきっかけは、高校で会った美術の先生でした。その先生はロンドンの私の母校(チェルシー美術大学)で勉強した人で授業がすごく面白くて、その人の影響もあり私もロンドンの美術学校に行くことにしました。
自身のスタイル
高校の美術の授業で、真っ白いキャンバスをみんなに配り、好きなものを描いてその後ディベートするというものがありました。その時は、何を描いてもいいというので描いていたのが今のスタイルに通ずるような色、形をした絵でした。
年齢もあったと思いますが「自分とは何でできているのだろう?」という問いに答えるためにいつも描いているような気がしてます。
イギリスに留学してからは言語の壁、環境、などいろんなことがものすごい勢いで流れていたので自分の人生の中ではとっても特別な時間だったように思います。大学の授業も新鮮で、特に何かを教わるということは全くなく、どちらかというと「吸収したいなら聞いて、吸収して」と言ったスタンスで追いかけないといけない姿勢にダメになりそうでもありましたが、なんとか卒業できました笑。
立体は大学に入ってから始めたことで、絵の延長線上に今はあるようなイメージです。今はもっぱら絵を描く方が多いですが、たまに握りしめたりしてます。
「ペインター」という仕事
「ペインター」という仕事という言い方が面白いですよね。
大学では「あなたはアーティストです」という教育をされてきて、そのまま私もそうなるんだと勢いで帰国したのですが、日本に帰ってかたは色々挫折もあり、仕事とアートのバランスをとることに必死だったので『「ペインター」という仕事』と言われるとなんだか嬉しいです。 絵や制作することは私にとって一番生き生きと生活ができる領域なので、それで生活ができるのは嬉しいことです。
今後は、もっと自分にとって良い制作環境を整えてもっと新しいことに挑戦していきたいです。ものすごい大きな絵の制作や、プリントなどの作業ももっとやっていきたいです。
今回のコラボレーションを通じて
新しいことを生み出して、それに対して現代的にアプローチをしていく姿勢に賛同できました。靴のデザイン同様、ペイントも曲線を軸に、流れるような施しができたのが気に入っています。