イサム・ノグチと光の彫刻「AKARI」

日本人を父に、米国人を母に持つイサム・ノグチは、幼少期を日本で過ごし、20代にはアメリカとフランスを中心に彫刻家として活動しました。彫刻家・コンスタンティン・ブランクーシの元で彫刻を学んだノグチは、石・金属・木などの素材を活かした数々の彫刻作品をはじめ、大地の彫刻ともいえる公園や庭のランドスケープ・デザインを発表するなど、その豊かな感性と表現のスケールによって、20世紀を代表する彫刻家のひとりとして知られています。

 

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Photo credit: https://www.economist.com
 

 

自然石と向き合っていると、石が話をはじめるのですよ。その声が聞こえたら、ちょっとだけ手助けしてあげるんです。」 

有名なその言葉が表現する通り、直線や円などシンプルなフォルムを基本としながら、素材のありのままの個性を引き出すノグチの彫刻からは、自然・宇宙の摂理を語るような、根源的な力強さが感じられます。

また、ノグチには自身の国籍によるアイデンティティの葛藤があったとしても知られており、戦争によって両親の祖国が敵国になるという悲痛の経験なども重なり、平和への強い願いを込めた作品も数多く制作しています。

 

 

The Inner Stone (1973)

The Inner Stone - The Noguchi Museum

Photo credit: https://www.noguchi.org

 

 

Energy Void (1971)

Chronology - The Noguchi Museum Photo credit: https://www.noguchi.org

 

 

Black Slide Mantra (late 1960s - late 1980s)

The Isamu Noguchi Archive : Transparency : Black Slide Mantra [00604]

 Photo credit: https://www.noguchi.org



 

 

光の彫刻「AKARI

 

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20世紀を代表する彫刻家として、今もなおこの世界に大きな影響と感動を与えているノグチが、生涯を通じて石や大地の彫刻に打ち込む傍ら、ライフワークとして35年という長い時間をかけて制作し続けたのが、光の彫刻「AKARI」です。

「AKARI」は、岐阜提灯をベースに制作された彫刻作品。和紙と竹ひごというシンプルな素材に、スタンドや金具などにも改良を重ね、小さく折りたたんで収納までできる作品です。

200以上の種類のデザインが制作され、竹ヒゴが不規則に巻かれたDシリーズ(Dはでたらめの意)、鏡もちや茄子など多様な形をしたNシリーズ(ニューあかり)、竹ヒゴを使用せず、和紙を折りたたんだ際に生じるしわの陰影を美しくみせようとするPシリーズ(Pはプレーンの意)など、伝統的な提灯製造の技術にのっとり制作されたものから様々なものに発展していきました。

室内で使用することができる照明器具としての「用」を兼ね備え、かつ誰にでも手が届く価格で量産ができる人々の生活を照らすための芸術です。

「AKARI」という作品の名前は、太陽の光や月の光などの「あかり」を部屋に採り入れる存在として名付けられており、部屋全体にほどよく光を分散させ、生活を優しく包み込みます。

 

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「僕は自分の作品に『AKARI』と名づけました。ちょうちんとは呼ばずに。
太陽の光や月の光を部屋に入れようという意味から『明かり』という言葉ができ、漢字も日と月とで出来ています。
近代化した生活にとって、自然光に近い照明は憧れであり、和紙を透かしてくる明かりは、ほどよく光を分散させて部屋全体に柔らかい光を流してくれる。“AKARI”は光そのものが彫刻であり、陰のない彫刻作品なのです。
」 

 

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 毎日にあかりを - Ubiquitous Sun -

太陽と月が地球を照らすように。「AKARI」が空間を照らすように。

OAOの「SUNLIGHT」は、ノグチの人生や人柄を知り、「AKARI」が生まれた背景について学ぶ中で生まれました。アッパーに施された複数のスティッチは、「AKARI」の竹ひごの有機的なラインをモチーフとし、ノグチの優しく子供のような探究心や遊び心と呼応するようにデザインがされています。

私たちが毎日身に着ける「靴」を通じて、生活を足元から優しく照らし、毎日を明るく輝かせるような存在になることを願って。

全ての人の足元に、あかりを。

 

フットウェアブランドOAO(オーエーオー)のスニーカーSUNLIGHT White(サンライト)

 

 

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