デザイナー串野真也の創造的シューズデザイン

OAOの1stプロダクト、”THE CURVE 1"。

先鋭的なデザインと、最先端のテクノロジーを活用した製作プロセスなど、あらゆる角度から注目を集める女性建築家であるZaha Hadidへのリスペクトを込めたモデル。

そのデザインや設計思想は、スポーツ用途が中心であった既存のスニーカーとは一線を画します。

そんなスニーカーのデザインを担当したのが、世界からも注目を集めるシューズデザイナー「串野真也」。

今回は彼にインタビューを実施し、シューズデザイナーとしての生い立ちから、THE CURVE 1のデザインに込めた想い、そして今注力している活動などについてお話を伺いました。

<Profile>

串野真也

広島県尾道市因島出身。京都芸術デザイン専門学校を卒業後、イタリアに留学。

”Istituto MARANGONI”ミラノ校、ファッションデザインマスターコースにてディプロマを取得。帰国後、自然からインスピレーションを受け、ファイナルデザインをテーマにした靴の作品を最先端技術や伝統技術などを駆使して製作し、世界に向けて発表している。現在は、バイオテクノロジーなど科学技術を取り入れたアート作品なども積極的に取り組んでいる。作品は、イギリスの国立博物館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、NYのFashion Institute of Technology 美術館に永久保存されている。

 

デザイナーとしての生い立ち・きっかけ

 

Q. デザイナーを目指した背景

私が産まれたのは、瀬戸内海に浮かぶ小さな島、因島でした。祖父の影響で、幼少期から色々な物を自分で作っていました。

小学校の高学年になり、周りのみんなが同じ服を着ている事が気になり始め、自分は違う服を着たいと思うようになったのがファッションに興味を持ったきっかけです。

最初は着る事が好きだったのですが、高校生の時にショップの店の方から“マルタン・マルジェラ”の存在を教えていただき、今まで自分が知っていた洋服とは違う世界がある事に衝撃を受けました。それから、自分でも洋服を作りたいと思うようになり、デザイナーになる事を決めました。

 

Q. 靴のデザインを始めたきっかけ

イタリア留学から帰国したのち、様々なファッションコンテストに応募したのですが、なかなか結果を出せず一度就職をして学んだ方が良いのではないかと思い最後に挑戦したコンテストが”Japan Leather Award”でした。コンテストは、いくつかのジャンルに分かれていて、以前から興味があった靴の部門を選びました。

 

紆余曲折あったのですが、グランプリを頂く事になり、審査員でデザイナーの三原康弘さんに働かせて欲しいとお願いをしたところ、「デザイナーがデザイナーの元で勉強する必要はない」と言っていただき、自分で頑張って行こうと決めました。このコンテストをきっかけで、靴のデザインをする事になりました。

 

Q. アイデンティティ・オリジナリティや、自身で大切にしていること

自分が育ってきた環境を大切にしています。それは、自分にしかないモノであり、アイデンティティ・オリジナリティに大きく影響するからです。

 

幼少期に当たり前にあった、山、海などの自然はたくさんのインスピレーションを与えてくれました。また、家族からは愛情と応援を惜しみなく貰いました。すべての要素が混ざり合い、今の自分を形成しています。

”デザイン”という仕事

Q.自身にとってデザインとは何か

作品とは違い、自分の意思を貫くのではなく、使用もしくは着用する人の事を考えて寄り添い、日常を少しでも豊にする力になる事だと考えています。

 

Q. デザインをする際のプロセス・着想の方法や大切にしているデザインのスタイル

普段から色々なジャンルの情報を吸収するようにしています。得た情報の中から気になった物をストックしていき、テーマに合わせて組み合わせていくイメージです。 

時間軸やジャンルを越えた重なり、意外性のある組み合わせが私の個性だと思っています。

 

Q.デザイナーとしての幸福・興奮

物作りは一人では出来ません。多くの人が関わり合い協力する事によって完成します。 ですので、プロジェクトによって面白い人に出会い、一緒に制作する事が出来た時に幸福を感じますし興奮します。そして、結果を残す事ができれば更に良いですね。

OAOとTHE CURVE 1

Q. OAOのデザインに関わり始めた理由

友人に紹介していただいた事がきっかけでした。ファッション業界ではなかった二人がブランドを立ち上げたいという話を聞き、興味を持ちました。実際に会うと、真剣に物作りに向き合いという熱い思いを感じ、一緒に仕事をしたいと思いました。

 

Q. ライフスタイルスニーカーの企画・デザインをしてみて感じた感想や学び

普段は革靴のデザインをすることが多かったのですが、スニーカーはデザインしてみたいと思っていたので、とても楽しみながら考えました。

OAOの二人のイメージを共有しながら考えていく作業は新鮮で、自分にはなかった東京の情報や感覚を知る事が出来ました。

また、彼ら(OAOの創業メンバー)は非常に柔軟で、最初のコンセプトからどんどん発展していく様子も興味深かったです。

 

Q. ZAHAに今回注目した背景とTHE CURVE 1で伝えたいこと

OAOの二人が考える東京のイメージを拡張するには、日本の内側から見るのではなく、海外からの視点が必要なのではないかと考えました。

 

そこで思い付いたのが、”Zaha Hadidの考える未来の東京”でした。

 

彼女が提案した新国立競技場は、斬新で躍動感のある素晴らしい建築でした。また、彼女のプレゼンテーションには、日本の伝統と最先端の文化にインスパイアされ、伝統的な工芸と現代的な技術の革新を合わせ持ち、過去に対する自信に基づいた未来が、日本の新しい精神を生み出していくとも書かれており、今回の企画のテーマにしようと決めました。私は建築家ではないので全てを理解している訳ではありません。しかし、彼女が伝えたかったメッセージや想いは感じとり考える事は出来ます。

 

実現しなかった建築だからこそ、そのエッセンスをスニーカーに落とし込む事が少しでも出来ればと思いました。

 

現在と未来

Q. 今特に力をいれているプロジェクトや注目しているテーマ

現在のファッション業界は、環境問題について多くを学び、進化しています。 私自身も考えを改めるきっかけになり、環境を良くするための繊維、架空の動物の皮膚を創るプロジェクトに行き着きました。

 

Q. デザイナー串野真也としての今後の展望や野望

環境を良くするための繊維、架空の動物の皮膚を創るプロジェクトが進展する事を願っています。完成すれば、社会に大きなインパクトを与える事になると信じています。そして、その素材が将来多くの人に自然に届くよう努力したいと思います。

 

    デザイナー串野真也の創造的シューズデザイン